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ランチオニン

毛髪は、ケラチンというタンパク質からできていますが、タンパク質はアミノ酸が集まったものです。毛髪を構成するアミノ酸が集まったものです。毛髪はイオウ(S)を含むシスチンを多く含むことが特徴です。

シスチンは毛髪中ではシスチン結合(ジスルフィド結合、S-S結合ともいわれます)として存在し、毛髪に弾力性や強度などの性質を与えています。そのため、シスチン結合が減ってしまった髪は強度や弾力が低下するのです。

シスチン結合は物理的な力では切れにくいのですが、化学的な反応に対しては切断されやすく、再結合させることもできます。パーマ剤はこのようなシスチン結合の化学的性質を利用したものになります。

つまり、パーマ剤の作用は、毛髪内のシスチン結合を第1剤中の還元剤で切断し、第2剤中の酸化剤で再結合させることです。

そのため、パーマ剤の正常な反応は可逆的(シスチン結合の切断⇔再結合)で、何度でもパーマをかけることができます。

しかし、毛髪診断や薬剤選定、操作等を誤るとパーマ剤の異常な反応が起こります。このような異常反応で生成するアミノ酸の代表がランチオニンです。この異常反応は不可逆反応と呼ばれ、一旦反応が進んでしまうと元のシスチン結合には戻せなくなります。

ランチオニンは、対象とする毛髪に対して過度にアルカリが強いパーマ剤や染料剤で処理してしまった際や高温処理で生じやすくなります。具体的には、シスチンの硫黄(S)が一つ脱落されることにより生成されます。
ランチオニンの生成反応は不可逆反応ですから、ランチオニンの量が増えてしまえばケラチンタンパク質中のシスチン結合量が減少してしまうため、毛髪の強度低下につながります。

このような毛髪損傷を防ぐためにも、適切な毛髪診断を行った上での前処理、薬剤の選択、使用量、時間・温度管理、中間水洗等に十分注意を払い、薬剤の使用方法と使用上の注意をしっかり守って操作することが大切になります。

・ランチオニンの生成反応
K-S-S-K⇔K-SH (可逆反応)
K-S-S-K→K-S-K (不可逆反応)

ケラチンを構成しているアミノ酸の構成
・酸性
アスパラギン酸    3.9~7.7
グルタミン酸     13.6~14.2

・中性
アラニン       2.8
グリシン       4.1~4.2
イソロイシン     4.8
ロイシン       6.4~8.3
メチオニン      0.7~1.0
シスチン(システイン) 16.6~18.0(0.5~0.8)
フェニルアラニン   2.4~3.6
プロリン       4.3~9.6
トレオニン      7.4~10.6
セリン        4.3~9.6
トリプトファン    0.4~1.3
チロジン       2.2~3.0
バリン        5.5~5.9

・塩基性
アルギニン      8.9~10.8
ヒスチジン      0.6~1.2
リジン        1.9~3.1

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