タール色素とは、本来石油からコールタールをつくるときに出来る化合物(ベンゼン、ナフタレンなど)を原料につくられる色素が名称の由来ですが、今は石油精製の際に得られるナフサを原料として合成されています。
タール色素の中で安全性が高く、薬事法などの法律で医薬品、医薬部外品、化粧品に使用出来ると定めたものを法定タール色素と呼び、水や溶媒に溶ける色素を染料、溶けない色素を顔料と呼びます。
また、法定タール色素は化粧品以外には食品にも利用されていますが、同じ色素でも食品と化粧品では、表示の仕方が異なっています。
例えば、ようかんやイチゴシロップに利用されるアマランスと呼ばれる色素がありますが、食品では赤色2号と表示されるのに対して、化粧品では赤2と表示されます。
化粧品に利用される法定タール色素の用途としては、口紅などのメイクアップ製品や外観への着色がありますが、その他に酸性染毛料(ヘアマニキュア)の染料としての利用があります。
酸性染毛料の染料には、法定タール色素の中でマイナスのイオンを持っているもの、いわゆる酸性染料が利用されます。
酸性染料の構造の中で-SO3Naの部分が、酸性カラー中では、-SO3-となります。つまりマイナスに帯電しています。一方、毛髪は酸性になるとプラスに帯電しますので、イオン結合で酸性染料と毛髪が結びつき染着します。
HC染料の化学式と比較すると分かり易いと思いますが、酸性染料は比較的大きなサイズの分子ですので、毛髪内に浸透し難い特徴があります。
そのため、ベンジルアルコールなどの溶剤を配合して浸透効果を高めるようにしてつくられていますので、酸性染毛料の染毛色はHC染料による染毛料よりも長時間持続します。(通常2週間~1ヶ月程度)。
また、酸性染料は、マイナスの電荷を持った染料ですので、コンディショニング成分(主にカチオン成分)と同時に配合することは難しく、手指や頭皮にも染着し易いため、施術に当たっては注意が必要となります。