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加水分解PPT

[PPTは加水分解タンパク]

美容室で使われる化粧品や医薬部外品には、配合したPPTを製品の機能として謳っているものがよく見受けられます。
このPPTはタンパク質の分子量を小さくしたもののことで、正式には「加水分解タンパク」と言い、英語表記のPolypeptide(ポリペプチド)を略してPPTと一般的に呼ばれています。

タンパク質とは、動物や植物などの生体を構成している、水に溶けない繊維状の物質で、皮膚(真皮)や血管、軟骨などに存在するコラーゲンタンパク質と、爪や髪の毛、ひづめや角、羽毛や羊毛などに存在するケラチンタンパク質などに大別され、アミノ酸と呼ばれる化合物が、多数つながった大きな分子です。

アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基の両方を持つことが特徴です。側鎖(R)の構造の違いによって、様々なアミノ酸(グリシンやプロリン、グルタミン酸など)に分類され、パーマでお馴染みのシステインもアミノ酸の一種です。

タンパク質は、このアミノ酸どうしが、それぞれのアミノ基とカルボキシル基でつながったペプチド結合(-CO-NH-)によって、鎖状に連なっています。自然界のタンパク質は、通常100個以上のアミノ酸から構成されていると言われています。

このように、タンパク質は分子量が非常に大きいために水に溶けにくかったり、また熱に弱いという欠点を持ち、化粧品の原料としては扱いにくいため、タンパク質を鎖の途中で切断して分子量を小さくし、水に溶けるようにしたり、安定性を向上させたものが化粧品原料としてよく使われます。これがPPTで、ちょうどアミノ酸とタンパク質の中間的な物質になります。

[酸(アルカリ)と水でタンパク質を切断するのが加水分解]

タンパク質の分子の切断(分解)には加水分解という方法を使います。これは、タンパク質を酸あるいはアルカリと一緒に水と反応させるもので、ペプチド結合(-CO-NH-)に(H2O)が取り込まれます。

ペプチド結合は水(H2O)が分解したOH-とH+をそれぞれ取り込んで、アミノ基とカルボキシル基に戻ります。
水(H2O)が関与し分解する科学反応であることから、「加水分解」と呼ばれています。

酸やアルカリによる加水分解のほかに、酵素を使ってタンパク質を小分子化する方法もあります。

タンパク質を加水分解する時の条件などの違いによって、PPTは様々な分子量のものを得ることができ、一般的に分子量が大きいほど造膜性に優れ、分子量が小さいものは保湿性に優れます。製品には、それぞれの目的に応じた分子量のPPTを単品で、あるいは種々の分子量のものを組み合わせて用いることで、幅広い効果を得ているものもあります。

[分子量や出発原料の種類の違いによってPPTは違いがある]

また、PPTは、出発原料(起源といいます)となるタンパク質によって種類分けがされます。
羊毛や羽毛などのケラチンタンパク質から得られるケラチンPPTは、毛髪に存在するS-S結合を有するシスチンを多く含んでいるのが特徴です。そして、ケラチンPPTは毛髪と同じようなアミノ酸組成であることから毛髪への親和性が高く、毛髪にハリコシを与えたり、傷んだ部分に吸着しやすく、補修作用や保護効果が高いという特徴を持ちます。

絹を構成するタンパク質の1つであるフィブロインは、独特の光沢があり、このフィブロインから得られるシルクPPTは皮膜性に優れることと、光沢を付与することが特徴です。

そのほかにも、コラーゲンPPTや大豆、ゴマ、コメなどの植物由来タンパク質のPPT、真珠貝から得られるコンキオリン、牛乳から得られるカゼインなど種々のPPTがあり、それぞれに保湿性や毛髪補修作用などの特徴を持っています。

さらに、PPTと他の化合物を結合させて、PPT本体の特性を残したまま、結合させた化合物の特性をプラスさせるようなものもあります。

例えば、カチオン化PPTはカチオン化することで毛髪の損傷部への吸着性が高まり、柔軟性や、帯電防止などの効果を発揮しながら、PPT本来の毛髪の補修作用や、保護効果も持ち合わせることができます。

また、PPTの末端にシリコーン化合物を結合させたシリル化PPTは、PPT本来の毛髪の補修効果と、シリコーンの持つ滑らかさや光沢といった質感を付与することができます。
このようにPPTは分子量や出発原料の種類の違いなどによって種々の機能や特徴を持っていますので、使用目的や使用シーンなどによって、使い分けるとより効果的です。

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