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薬事法違反

パーマ剤にPPTなどの化粧品を混ぜることは「薬事法違反」です。

[製品の混合は薬事法の製造違反︎]

パーマ剤に限らず混合する使用方法が記載されていない製品同士を混合したり、使用上の注意を守らずに施術を行うことを、一括して「薬事法違反」と捉えている方が多いと思いますが、正しく理解するためには、これ等は分けて考える必要があります。

先ず、製品同士を混合する行為を考えてみましょう。薬事法は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造業と製造販売業を対象とした安全性を確保するための法律です。ですから、美容室で通常行う行為(パーマ施術や染毛施術など)は規制対象ではありません。
しかし、製品を混ぜるということは、薬事法の製品行為に該当してしまいます。薬事法の第13条には「医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造をしてはならない。」と規定されています。
そのため、美容室で製造業の許可がないのに、製品同士を混ぜてしまうと、新たな組成の別の製品を造ったことになり、薬事法違反に該当してしまうのです。

ここで、「業として」の意味は、自分で使うためであれば、薬事法の製品行為には当たらないということです。つまり、自分で製品を混ぜて使用しても、薬事法の、対象外ということです。
また、薬事法第2条には「製造販売」の定義として「その製造等をし、又は輸入をした医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器を、それぞれ販売し、賃貸し、又は授与することをいう。」と定められているため、販売だけでなくタダで配る場合も薬事法の規制対象になります。

つまり、自宅で作ったヘチマ水や石けんを自分で使う場合は薬事法違反にはなりませんが、これを他人にタダで譲る場合も薬事法違反になってしまうのです。

[使用上の注意は薬事法の規制の一部]

次に、使用上の注意を守らずに施術を行うことについてはどうでしょうか。ちょっと古い話ですが、パーマ剤の中間水洗を省いてパーマ施術を行い事故が発生し、訴訟の結果、美容室の過失となり、損害賠償の支払いを命じられる判決が出ています。これには「損害賠償」という言葉が出てきていますが、これは民法の法律用語で、違法な行為で損害を受けた者に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすることをいいます。
つまり、美容室で事故などを起こした場合には、法律としては民法で裁かれますが、事故が起こって根拠として薬事法の違法行為が問われるのです。

「使用上の注意も薬事法なのか」と疑問に思う方もいるでしょうが、パーマ剤や染毛剤などの医薬部外品の承認(国から、その製品の製造販売を行っても良いと認めてもらうこと)を得る場合は、薬事法上問題ないのかが審査され、この審査の際には必ず使用上の注意を記載することが必要になります。つまり、薬事法の目的である安全性を確保するためには、使用上の注意を守ることが必要だということです。

ですから、パーマ剤や染毛剤などは、使用上の注意を守るという条件付きで薬事法で認められていますので、使用上の注意も、当然、薬事法の規制の一部と考えられるのです。

[目的外使用は薬事法違反]

まつ毛パーマ(カール)はどうでしょうか。現在、「まつ毛パーマ液」として薬事法で承認を受けた製品はありません。そして、厚生労働省から度々まつ毛パーマ禁止の通知が出されています。「パーマネント・ウェーブ用剤の目的外使用について」(昭和60年7月1日衛指第117号厚生省生活衛生局指導課長通知)には、パーマ剤を「美容師が顧客に対して目的外使用し、その結果として何らかの事故を生ぜしめるなどは美容師の社会的局責務に背くものであり、厳に慎まねばならないものである。」とされ、「美容所等においてかかる行為により事故等の起ることのないよう、美容所等への立入検査、巡回指導を行い営業者等を十分に指導する等により美容所における美容業務の適正な実施の確保を図られたい。」
との内容で、パーマ剤のまつ毛への使用は目的外使用となり薬事法違反であること、そして、まつ毛パーマを禁止する指導を行うことが明記されています。その後、平成16年にもまつ毛パーマに関する通知が出されています。

このように、目的外使用(製品に記載された使用目的以外に使用すること)も薬事法違反になりますのて、目的外使用で事故を起こした場合には中間水洗を省略した事故と同じように、薬事法で直接裁かれるのではなく、民事により裁かれることになります。さらに、目的外使用による事故は美容所賠償責任保険の対象にならない場合が多いようですし、場合によっては「業務上過失傷害」として刑事訴訟法による刑事責任を負うことにもなりかねません。

今まで説明したように、美容室での業務の中には、薬事法に抵触するとして直接薬事法違反に問われる場合と、他の法律違反の根拠として薬事法違反を指摘される場合に分けられます。
いずれの場合にも、正しい使用法で施術したのに事故が起こってしまった場合は、メーカーは美容室の味方になって問題解決に協力してくれるはずですが、間違った使用法や使用上の注意を守っていないために発生した事故には対処できません。

ですから、お客様の安全を確保するために、そして、万が一の場合でも美容室自身を守るために、全ての製品の使用法や使用上の注意を守って施術することが大切になるのです。

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