チオグリセリンとは
2001年の化粧品規制緩和から、企業が安全性を担保することで日本でも使用できるようになった還元剤です。
ただし、医薬部外品のパーマ剤には配合することは認められていません。
「チオグリセリン」は「1-チオグリセロール」とも呼ばれ、チオグリコール酸など他の還元剤と同様に、構造にチオール基(-SH)を持つことで還元力を発揮します。
チオグリセリンは、中性付近の低アルカリ性領域でもカール形成力を持つという特徴があり、欧米では以前から化粧品に使用されています。
チオグリセリンの分子量はシステインよりも小さく、チオグリコール酸より大きい化合物ですので、分子の大きさから見るとチオグリコール酸より毛髪へは入り難いと思われます。
しかし、チオグリセリンの構造は、化粧品で保湿剤としてよく使われている「グリセリン」と類似しています。
グリセリンは3つの水酸基(-OH)を持っています(水酸基を複数持つ物質を多価アルコールといいます)が、チオグリセリンはそのうち1つがチオール基(-SH)に置き換わった構造となっています。
このように親水性が高い水酸基を複数持つことで、水やアルコールに対する溶解性が向上します。
グリセリンなどの水酸基を多く持つ多価アルコールは、毛髪内の親水性の部分への親和性も良いといわれています。
構造の似ているチオグリセリンもこれらの多価アルコールと同様の性質を持つと考えられることから、低アルカリ性領域でもカール形成力を示すものと考えられます。
還元剤の分子量
システアミン 77
チオグリコール酸 92
チオグリセリン 108
システイン 121