チオール基とは
医薬部外品のパーマ剤や化粧品のカーリング料に使用されてる還元剤には様々なものがありますが、その構造には、サルファイトを除くすべてに「-SH」が含まれています。
これらの物質は全てR-SH(Rは有機部分の構造)という形で示されています。
このR-SHの構造のを持つ化合物を総称してチオール(メルカプタン)と呼び、この-SHの塊り(基といいます)のことをチオール基といいます。
そして、このチオール基の末端の水素(H)が外れることで、チオール基を持つ物質は還元力を発揮します。
サルファイト(亜硫酸塩)はチオール基を持ちませんので、自ずと毛髪への作用の仕方はチオール基を持つ物質とは異なることになります。
*還元剤の構造
チオグリコール酸 HOOC-CH2-SH
システイン HOOC-CH(NH2)CH2-SH
アセチルシステイン HOOC-CH(NHCOOH3)CH2-SH
システアミン HOOC-CH2CH2-SH
チオグリセリン HO-CH2CH2(OH)CH2-SH
サルファイト Na2-SO3
チオール基の性質
酸性は水素イオン(H+)の多い状態で、アルカリ性は水素イオンが少ない(=水酸化物イオン(OH-)が多い)状態ですから、酸性の水溶液にチオール基を含む還元剤を溶かしても、チオール基(-SH)の周りに水素イオンが沢山あるため水素はなかなか外れません。
これに対し、アルカリ性の水溶液にチオール基を含む還元剤を溶かした場合は、チオール基の周りには水素イオンが少ないので、簡単に水素が外れます。
pHの高いほうがチオール基から水素が外れやすくなるため、pHが高くなるほどパーマはかかり易くなります。
パーマにおけるチオール基の作用
pHによってチオール基(-SH)からの水素の外れ易さが違うことを説明しましたが、還元剤の種類によって水素が外れる(水素が外れたS-はチオレートアニオン)pHが異なります。つまり、低いpHで還元力を発揮するということです。
この指標として酸解離定数(pKa値)というものがあり、この値が小さいほど低いpHでチオレートアニオンを生成することを示しています。酸性で強いカール力が得られるとされるブチロラクトンチオールはpKa値の低いです。
しかし、還元剤が毛髪に作用して、実際にカールやウェーブを得る力は、その分子量や分子構造、疎水性の度合い、、、など様々な要因が複雑に影響しますので、チオレートアニオンの生成量だけでは語れないことにも注意してください。
*還元剤別 酸解離定数(pKa値)
還元剤の種類 pKa値
ブチロラクトンチオール 6.9
システイン 8.3
システアミン 8.4
チオグリコール酸 10.4