現在、日本で使用されているヘアカラーは、化粧品と医薬部外品の大きく2つに分類されます。
さらに医薬部外品のヘアカラーは酸化染毛剤と非酸化染毛剤に分けられますが、美容室で行われるカラー施術では、第1剤と第2剤を混合して使用するタイプが汎用されており、これが酸化染毛剤です。
一般的には、アルカリカラーと呼ばれることが多いようです。
酸化染毛剤には、第1剤に酸化染料とアルカリ剤、第2剤に過酸化水素水が配合され、両者を混合すると活性酸素が発生します。
この活性酸素は、酸化染料を重合(小さい分子が集まって大きな分子を生成する反応)し毛髪を染色すると同時に、毛髪中のメラニン色素を分解し毛髪を脱色(ブリーチ)します。
このように酸化染毛剤は、毛髪をブリーチ(脱色)しながら染色するため、毛髪に大きな色の変化を与えることができるのです。
第1剤には酸化染料が配合されると説明しましたが、酸化染料は「染料中間体」、「調色剤(カップラー)」、「直接染料」という3つのグループに分けられます。
染毛剤の染毛色を決定する基本となる染料が染料中間体ですが、染料中間体自体は色を持たないため、水に溶かしただけではほとんど無色です。
しかし、これに過酸化水素水を加えると染料中間体は酸化されて重合し、発色します。
このように、染料中間体とは単独でも酸化されると発色する性質を持つ酸化染料を指し、よく用いられる染料中間体にはパラフェニレンジアミン、硫酸トルエン2、5-ジアミン、パラアミンフェノールなどがあります。
染料中間体は重合して大きな分子になりますので、毛髪内部に溜まりやすく長期間染毛色を持続することができます。
直接染料は酸化には関係なく元から発色している染料ですから、水に溶かすと着色しますので、そのままでも毛髪を染毛することができます。
よく用いられる直接染料にはニトロパラフェニレンジアミン(赤)やパラ二トロオルトフェニレンジアミン(黄橙)などがあり、赤味や黄色味など染め上がりの染毛色に鮮やかさや深みを与えることができます。
一方、酸化されて分子が大きくなることがありませんので、直接染料での染毛色の持続時間は比較的短いのが一般的です。
染料中間体や直接染料のみでも染色は可能ですが、それだけですと色のバリエーションが限られてしまうため、市販の酸化染毛料は、通常「染料中間体」、「調色剤(カップラー)」、「直接染料」が組み合わされて配合されています。
酸化染毛剤
1剤・・・酸化染料、アルカリ剤、水
2剤・・・過酸化水素水、水