動物の血液には赤血球が含まれています。この赤血球は酸素と結合して、身体中に酸素を運ぶ役割を担います。
この酸素と結合する物質がヘモグロビンで、鉄を含むヘムという赤い色素２つと、グロビンというタンパク質２つが結合した複合タンパク質です。
この赤い色素とタンパク質を電気的に分離し、グロビンタンパク質を取り除いて色素だけを取り出したものがへマチンです。

このようにヘマチンは元来タンパク質と結合した状態にあったものですから、毛髪や皮膚のタンパク質（ポリペプチド）と吸着しやすい性質をもちます。また環状構造を持つため、この中に酸素などの物質を取り込む作用を持つことから、他の様々な特徴も併せ持ちます。

化粧品類に配合される原料のヘマチンは、中性～弱アルカリ性の黒褐色の溶液ですが、原料会社の具体的作用としては

①　毛髪のダメージ部に強く付着して補修する。

②　ヘマチン中に含まれる鉄が触媒として働き、パーマ剤第２剤を効果的に作用させるため、毛髪強度を低下させ難く、パーマの持ちがよくなる。

③　過酸化水素に添加すると、速やかな分解を促す。

④　メカルプタン臭（チオ系パーマ剤第一剤の臭い）を低減する。

などがあります。

なお、「ヘマチン」に似たような名前の成分に「ヘマテイン」がありますが、これは天然植物色素ですから全く違うものです。